大阪市での調査によると、日本のLGBT人口は3~8%程度といわれており、その中でもバイセクシャルが1.4%といわれています。
LGBTQのバイセクシャルですが、実際にLGBTのコミュニティに入ってみると、偏見を持たれてしまうことも多いのが現状です。そういった現実があるからこそ、バイセクシャルであることをなかなかカミングアウトできない人も多いです。
また、人々の中にはクエスチョニングといった、自分の性的指向が定まっていない人も多く存在します。
バイセクシャルであると自認した多くの人は、自分が異性としか経験がなく、異性愛者だと思っていた人もたくさんいます。
そこで今回は、バイセクシャルが直面しやすいあるあるについてご紹介していきます。
バイセクシャルとは?
まずバイセクシャルの定義としては、
バイセクシャルとは
恋愛対象や性的対象が男性・女性である人のことを指します。
日本では「両性愛者」とも呼ばれています。
となっています。
LGBT表記では、バイセクシャルの「B」にあたり、芸能人の多くがカミングアウトしているのはバイセクシャルが多いです。
自分がバイセクシャルかもしれない、と難しく考える前に多様な性のあり方である4つの要素を考えてみると分かりやすいです。
- 身体の性 生まれた時の自分の性別が男性・女性のどちらかに割り当てられているもの
- 心の性(性自認) 自分の性別はどのように認識しているのかというもの。男性・女性・考え中・性別を決めたくない人もいます。
- 性的指向 恋愛対象や性的対象がどの性別に向いているのかというもの。バイセクシャルの人の場合、男性・女性の両方の性別に向いているというのが特徴です。
- 性表現 性格やファッション、仕草など自分自身のことをどのように表現するのかというもの。
バイセクシャルの人の場合、身体の性や心の性については特に関係なく、性的指向がどのように向いているかによって判断されることが多いです。
7割以上の女性がバイセクシャルの可能性を秘めている
英エセックス大学心理学部のゲルルフ・リーガー博士による研究によると、
被験者である女性345人に、魅力的な男性と女性の裸体映像を見せ、彼女たちがどのような反応を示すか調査した結果、ほとんどが男性の裸だけではなく、なんと女性の裸にさえ強く惹かれていることが明らかになった
という研究結果が出ました。
ストレート女性の74%は男性と女性の両方に反応を見せたということで、女性はバイセクシュアルまたはレズビアンのどちらかであり、異性愛者はめったにいないという結論が出たそうです。
女性の性的指向を決定する要素は性的反応以外にもあり、表面上の特性だけでは判断が難しく、女性の性的反応は男性に比べてミステリアスなものといわれています。
バイセクシャルと似たパンセクシャルという存在もある
実はセクシャリティにもいろいろな種類があり、バイセクシャルと似た存在のパンセクシャルという種類があります。
パンセクシャルとは
あらゆる性別の人が恋愛対象となり、好きになった人が好きという考え方の人を指します。
「全性愛者」と呼ばれることもあります。
バイセクシャルとパンセクシャルは似たようにも感じますが、全く違ったものなのです。
どこが違うのかというと
- バイセクシャルは男性・女性のふたつの性別を恋愛対象として考える人のこと
- パンセクシャルは性別・性自認関係なく区別せず恋愛対象として考える人のこと
バイセクシャルは「両性愛者」、パンセクシャルは「全性愛者」と呼ばれているので、性別を問わず恋愛対象とするかそうではないか、という違いがあるといえるでしょう。
バイだからこそ考えられる5つの悩み
生き方に悩みを感じる人が多い
バイセクシャルの人の多くは、自分自身の生き方に悩みを感じている人が多いです。
理由としては、LGBTコミュニティの中では偏見を持たれてしまうことがあったり、カミングアウトをして周囲に拒絶されてしまったら…といった不安を感じることが多いからです。
LGBTといえばカミングアウト、と考える人もいますが、カミングアウトは必ずしもする必要はありません。
自分自身の考えや覚悟が固まっていたり、周囲の反応を考えた上でもカミングアウトをして良いと思ったらしても良いでしょうし、不安要素があればカミングアウトをしなくても構いません。
またLGBTコミュニティの中で恋愛対象・性的対象が定まっていないからと偏見を持たれることが多くても、必ずしも対象の性別を決める必要はありません。
そういった考えは、他の人とすべてが同じにならなければいけない、なんてことはありませんし、人それぞれ十人十色なのがセクシャルマイノリティの世界です。
周りに流されず、自分の考えや意思を尊重して生きていきましょう。
異性しか経験がなくても、バイセクシャルと言って良いの?
続いての悩みとしてバイセクシャルの人に多いものが、異性経験しかないからバイセクシャルと名乗っていいのか分からない、ということです。
実はバイセクシャルの人の多くは、今まで異性としか経験が無かったという人がたくさんいます。
身近にそこまで魅力を感じる人がいなかったというだけで、現在異性と交際している自分でもバイセクシャルと名乗っていいのか分からないと悩む人が多いです。
しかしバイセクシャルの恋愛対象や性的対象は、男性・女性の両方の性別なので、どちらに対しても魅力を感じたことがあるのであればバイセクシャルと言って良いといえるでしょう。
誰でも好きになると勘違いされやすい
バイセクシャルに対しての偏見の一つとして、男性に対しても女性に対しても恋愛対象や性的対象となるので、誰でも好きになるのではないか?と勘違いされることが多いです。
また自分自身がバイセクシャルだから、友人関係を築いていくのは難しいのではないか?といった悩みを抱えている人もたくさんいます。
親しい友人に自分がカミングアウトしたことで、
私のこと好きにならないでね!
などと言われた経験があるという人も実は多くいます。
そういったカミングアウトから、友人関係がうまくいかなくなったという人もたくさんいて、社会のバイセクシャルに対しての偏見はまだまだある現実でもあります。
バイは不誠実なイメージを持たれがち
男性に対しても女性に対しても恋愛感情を抱いたり、性的対象として見ているバイセクシャルですが、だからこそ誠実ではないイメージを持たれがちです。
ドラマや映画などの作品でも、バイセクシャルの人が主役の作品はあまり思い浮かべられませんよね。
出演しているのであれば、サブの役であることが多く、ほとんどが浮気相手や不倫相手のパターンばかりです。
そういったことも相まって、
- すぐに浮気しそう
- 誰でも好きになりそう
- 誰でも良さそう
などの偏見の目で見られてしまっています。
しかし、実際のバイセクシャルの人はそういった偏見の目で見られていることも自覚しているので、一時の感情で動いたりせず、慎重な人が多い印象です。
セクシャリティがまだ決まっていない
バイセクシャルの人の中でも、自分自身のセクシャリティが分からないという人もたくさんいます。
男性に対しても女性に対しても特別な気持ちを抱いているが、この気持ちが友情としてなのか恋愛としてなのか分からない…
最初に自分のセクシャリティについて考える際、バイセクシャルの人の多くがぶち当たる壁のひとつでもあります。
誰に対してもそういった気持ちで接するという訳ではないし、恋愛感情なのだろうけど、この気持ちを相談できるような人が身近にいない、と悩んでいる人も多い印象です。
もしも自分のセクシャリティに迷いがあったり、聞いてみたいことや聞いてもらいたいことがあるのであれば、最近は様々な相談する窓口があります。
こちらに相談先リストというのがまとめられているので、一度連絡してみるのも良いかもしれません。
さいごに
さて今回は、バイセクシャルが直面しやすい問題についてご紹介してきました。
最近は性の多様性について取り上げられることも多く、相談できるような窓口も設けられるようになってきています。
今まで異性としか付き合っていなかったのに同性のことが気になるようになってしまった…
といった気持ちの変化や考え方の変化により、もしかしてバイセクシャルかも?と考えるきっかけにつながります。
バイセクシャルの人の多くは、なかなかカミングアウトまで繋がらないことも多く、相談できるような存在がいなくて悩んでしまう人が多いです。
もしも悩んで悩んで、自分の気持ちを封印しようと考えてしまったり、悩みすぎてよくわからなくなってしまった場合は、是非相談窓口に連絡してみてください。
あなたの話を優しく聞いてくれる人がたくさんいて、気持ちの整理を一緒にしてくれますよ。